こんな状態で映画を観たので、今一つ物語に没入できませんでした。僕の観た回がたまたまそうだったのか、東劇の映写設備やプリントがダメだったのか謎ですが、他にこの映画をご覧になる方がいれば、気をつけて観ていてください。もし何らかの理由で映画のプリント自体に問題があるのだとすれば、これは映画館に足を運ぶ客をなめているとしか思えない。大画面でクリアーな映像を観るのが映画館の醍醐味なのに、それが果たせないのではしょうがないですよねぇ。
で、映画の方ですが、オープニングで騎兵隊とインディアンの短い戦闘シーンを見せたのと、ジェロニモが保留地から逃走するシーン以外は大がかりなアクションシーンがない。メキシコの酒場でちんぴら白人とジェロニモ追撃隊が撃ち合うシーンはサスペンスたっぷりだけど、ここにもアクションのカタルシスはない。広大な大地を駆けめぐる馬の大群や、独特のかけ声をあげながら疾走する騎上のインディアンの姿もほとんど観られない。要するに、ぜんぜん西部劇らしくないのです。映画はひたすらジェロニモと彼を追う騎兵隊の将校を描きます。ジェロニモの大胆不敵な面構えや、どこか寂しげな表情の騎兵隊将校。言葉に出しはしないが、目と目で語り合う男と男の友情。そんなものが描かれているのかもしれないけれど、なにしろ画面がピンボケなので、そこまで観ることができませんでした。